ドビュッシーの12のエチュードにつづく樋口紀美子
2年ぶりのCDリリースはショパン作品集。
樋口紀美子/ショパンのソナタ第3番、3つのマズルカOp.59他
〜ノアンの思い出

 樋口のレパートリーはバロックから現代まで幅広いが、中核となるのはJ.S.バッハ、ショパン、シューマン、リスト、ドビュッシーといった、ピアノ作品の枢軸である。
 樋口は、7年前に長く住んだベルリンから日本に住居を移したが、渡欧してから40年という節目の年(2014年)にCD第2弾を録音するのに際して、何の迷いもなくショパンを選んだ。
 前作のドビュッシーやショパンを幼少から特に好んで弾いていたという樋口だが、長じてドイツに留学し、バッハを原点にドイツ音楽を中心に研鑽に励んだ。するとむしろ一層ショパンやドビュッシーに対する共感が深まったという。
 前作のドビュッシー「12のエチュード」には「ショパンの思い出のために」という副題が楽譜に記されているが、本作品は樋口自身の希望で「ノアンの思い出」を副題としている。
 ノアンはフランス中部の村だが、ショパンがサンドと夏の日々を過ごしたノアンの館や、ショパンが散策した小径を樋口は数年前に訪れている。すると天国のショパンと対話したり、この地で生まれたいくつかの作品の響きが自然に聞こえてきたという。
 樋口は大好きなショパンを折にふれ演奏会で取りあげてきた。このCDの核とも言えるソナタ第3番は、ドイツ、日本の双方でデビュー・リサイタルでも演奏している。そして40年以上の絶え間ないショパンへの熱い思いが、このアルバムの端々からにじみ出ている。
 今回も響きの良さで定評のある浜離宮朝日ホールで収録した。樋口はリサイタルもここで経験しており、慣れ親しんだピアノとホールが一体となった、極上の響きがこの録音でも堪能できる。

ショパン:ソナタ第3番、3つのマズルカOp.59他〜ノアンの思い出

ショパン (1810-1849)
ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58
ノクターン第15番 へ短調 作品55の1
子守歌 変ニ長調 作品57
スケルツォ第4番 ホ長調 作品54
3つのマズルカ 作品59

樋口紀美子(ピアノ)
販売形態 品番 値段
C D
MF25702 定価 2,800円+税
発売日
2014年10月25日(予定)
録音
浜離宮朝日ホール 2014年3月24, 25日
録音方式
DSD to finest CD
■ こぼれるれるようなロマンとドラマティックな抒情
真嶋 雄大〜ライナーノーツより
限りなくデリケートながら、けれども存在感に満ち溢れたピアニシモ、大袈裟ではない振幅や起伏の中での物憂げな情感や深々とした沈潜、そして心の底からの悲しみを、樋口さんが共感とともに肌理細やかに紡いでいくと、そこには零れるようなロマンとドラマティックな抒情が揺蕩うように湧き起ってくるのだ。
CD発売記念リサイタル 
2014年10月23日(木・祝) 浜離宮朝日ホール

■樋口紀美子/Kimiko Higuchi, piano

 6歳より母の手ほどきでピアノを始める。藤田晴子、田辺緑、岡部昌、永井進、神西敦子、K.ヘルヴィッヒ、H.E.リーベンザーム、G.アゴスティ、H.C.ステファンスカ、W.ブランケンハイム、D.ヴァルジの各氏に師事。1974年渡独。エッセン国立音楽大学、ベルリン芸術大学、ザールブリュッケン国立音楽大学演奏家コース卒業。
 1977年、イタリアのフィナーレ・リグレ国際ピアノ・コンクールにて3位入賞。以来、ドイツ、スイス、イタリア各地で数多くのリサイタルを行う。80年スイスのルガノ国際ピアノコンクール「スケルツォ特別賞」。81年以来、一時帰国しては東京にて13回のリサイタルを開催。『音楽芸術』『音楽の友』『ムジカノーヴァ』『ショパン』各誌で高い評価を得る。85年東京交響楽団とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を共演。
93年10月にはマーラー《大地の歌》ピアノ版を邦人初演し、『音楽の友』のコンサート・ベストテンにノミネートされるなど、絶賛を博す。
 1988年よりベルリンのフィルハーモニー、カンマームジークザールを中心に9回のリサイタル(アードラー主催)で成功を収め、ベルリン・ピアノ界の常連としての地位を確立した。93年の演奏会はベルリン最大有力紙『デア・ターゲス・シュピーゲル』の批評欄で「微笑む理性」と絶賛された。94年9月、イタリアのシチリア島におけるイブラ・グランプリ国際コンクールで、プロフェッショナル・ピアニスト部門入賞。97年リスト・プログラムでCDデビューし好評を博す。
ベルリン教会音楽大学ピアノ科講師、ベルリン市立音楽学校ピアノ科および室内楽科講師を歴任。ピティナ・ピアノコンペティション、ベルリン・スタインウェイ・ピアノコンクール審査員。05年よりドイツ音楽芸術家連盟ベルリン正会員。
 2007年8月、33年のドイツ滞在を終えて帰国。2008年6月、浜離宮朝日ホールでの帰国記念リサイタルを機に、日本各地でコンクールの審査、講演・演奏活動を展開している。
 
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