輝くような気品に満ちた音色
水野均/アーレントオルガン at カザルスホール
SACD5.1サラウンド・バランス・テストつき!
「室内楽の殿堂」として知られるカザルスホールには、1997年、創立10周年を記念して名匠ユルゲン・アーレント製作のオルガンが設置されています。アーレントの代表作のひとつと言われるこのオルガンは、美しい姿と同様、響きも気品と輝きに満ちています。設置以来、細心の心配りのもとに弾き込まれ、ホールの響きにも馴染んで、音色にはさらに磨きがかかってきました。試弾に訪れた巨匠マリー=クレール・アラン氏も「このオルガンは、完璧な状態にある」と太鼓判を押した程です。このオルガンの最良の響きを、もっともふさわしい演奏者と曲目で収録したのが本ディスクです。
 アーレントは、数多くの歴史的な楽器の修復を手がけて得た技術を新しい楽器の製作に取り入れ、20世紀最大のオルガン製作者の一人と言われるようになった人物。そのアーレントオルガンの本領を発揮する意味で、ブルーンス、ブクステフーデ、バッハ(ドイツ・オルガン音楽の3大Bとも言われる)の代表作を、99年以来カザルスホール・オルガニスト・イン・レジデンスを務め、このオルガンを知り尽くしているオルガニスト水野均が演奏しています。
 カザルスホールに響きわたるアーレントオルガンの最良の姿が、このディスクには写し録られています。
水野均/アーレントオルガン at カザルスホール
 1)N.ブルーンス:プレルディウム ト長調
 2)D.ブクステフーデ:コラール幻想曲「暁の星のいと美しきかな」BuxWV223
 3)J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 4)J.S.バッハ:コラール前奏曲「わが心の切なる願い」BWV727
 5)J.S.バッハ:協奏曲 ニ短調 BWV596[原曲=A.ヴィヴァルディ:協奏曲ニ短調 作品3-11(RV565)]
 6)J.S.バッハ:パッサカリア ハ短調 BWV582
★ fine NF オリジナル SACDサラウンド・バランス・テスト(SFネイチャー・サラウンド用)

trc.(1)〜(6)のみ収録
水野均(オルガン)
販売形態 品番 値段
ハイブリッドSACD
(CD, SACD Stereo, SACD 5.1Surround)
通常のCDプレイヤーでも再生可能
NF62201 希望価格:4,500(税込)
Extreme Hard Glass CD  SN22201EX 定価:49,350(税込)
発売日
2002年12月
録音
2002年8月14日〜16日 日大カザルスホール、東京
スタッフ
プロデューサー:中村ひろ子
レコーディング・プロデューサー:西脇義訓
レコーディング・エンジニア/サラウンド・サウンド・テクノロジー:福井末憲
カヴァー・フォト: 篠山紀信

■カザルスホール
 1987年、日本で初めての室内楽専用ホールとして東京・御茶ノ水にオープンした。室 内楽を深く愛し、後進の育成にも力を注いだパブロ・カザルスの精神に共鳴して、その名を冠している。世界唯一のヴィオラ音楽の祭典「ヴィオラスペース」など独自の企画を数多く主催し、日本における「室内楽の殿堂」として高い評価を得ている。2002年12月、日本大学に売却。
  1フロア/シューボックス型/客席数511席。
  建築設計:株式会社磯崎新アトリエ
  音響設計:株式会社永田音響設計


■カザルスホールのアーレントオルガン
 1997年、カザルスホールの創立10周年を記念して設置された、日本で3台目のアーレントオルガン。17世紀末ハンブルクのオルガン製作者アルプ・シュニットガーの楽器に構想を得て、北ドイツ・バロック様式を忠実に受け継いで建造されている。送風機以外はすべて手動で、17世紀当時とまったく同様の設計。
  現代のコンサートホールにあるオルガンは、様々な時代の様々な楽曲に対応できる汎用型の大きな楽器がほとんどだが、そうした楽器では、何を弾いても違和感がない中庸な音色に傾かざるを得ない。しかし、カザルスホールの楽器は、17~18世紀ドイツ・バロックを弾くために作られた。この楽器では、ブラームスもメシアンも弾けない。しかし、なぜアーレントとカザルスホールがドイツ・バロックにこだわったかがは、本CDにおさめられたブルーンス、ブクステフーデ、そしてJ.S.バッハから聴き取っていただけると思う。
  パイプ本数:2,414本、大きさ:高さ6.0m×幅6.6m、
  調律法:ヴェルクマイスターU
  演奏台:第1手鍵盤 53鍵 12ストップ、第2手鍵盤 53鍵 12ストップ、
  第3手鍵盤 53鍵 7ストップ、足鍵盤 30鍵 10ストップ
  風圧:75mm、 製作:ユルゲン・アーレント


■北ドイツの名匠ユルゲン・アーレント
ユルゲン・アーレントは1930年ゲッティンゲン生まれ。同市のパウル・オットーのもとで修行し、1954年にマイスターの資格を得る。同年、ゲルハルト・ブルツェマンとともにレーアに工房を開き、1971年以降は単独で運営に当たっている。彼のオルガン製作の主眼は、19世紀に途絶えてしまった伝統を復活させ、昔の音色を蘇らせるために、古来の技術を再び用いることにある。その仕事は、歴史的オルガンの修復と新たなオルガンの製作とに等分される。歴史的オルガンとしては、北ドイツ・オランダ地方の楽器のほか、アルプス地方にある最古のルネサンスオルガンやバロックオルガンも修復している。特に名高いのは、ハンブルク聖ヤコビ教会のアルプ・シュニットガー製作のオルガンの修復である。また、新しいオルガンは、工場で大量生産された部品を一切用いずに小さな工房で手作りされたもので、全世界で高く評価されている。

 プロデューサーズ・ノート
  カザルスホールのアーレントオルガンは、1本1本の笛の音色が惚れ惚れするほど美しい。楽器を知り尽くしたオルガニストが巧みに風を操れば、2414本の笛たちは高らかに歌い、どんなにたくさん音を重ねても決して濁ることがない。やわらかく澄み切った響きは輝くような気品に満ち、驚くほど繊細なニュアンスを紡ぎ出す。耳を澄ますと、楽器固有の息づかいが感じとれる。アナログレコード時代の重低音轟く「トッカータとフーガ」に慣れた耳には、最初は違和感があるかもしれない。しかし、オルガンという楽器の神髄は、人間のように息をしながら歌うところにあるのだと思う。
 水野均氏は、日本のオルガニストでは数少ない「イタリア派」。ミラノで研鑽を積み、現在は東京芸大の博士課程でイタリア・ルネサンス期のオルガンに関する論文を執筆中である。無事受理されれば、日本で2人目のオルガンを専門とする博士が誕生する。カザルスホールのオルガニスト・イン・レジデンスとしては、すでに4年目。イタリア仕込みの明るい歌心あふれる音楽が北ドイツ生まれのアーレントオルガンと微妙に溶け合い、この4年で両者ともに成熟してきた感がある。ちょうど若き日のバッハが陽光あふれるイタリアの音楽に憧れたように、ドイツの楽器にイタリアのスパイスを加えてみると、楽器はぐっと生き生きと歌い出すのである。
 カザルスホールが日本大学に売却されると決まったのが、2001年7月。ホールが原状で維持されることは当初から決まっていたものの、実際にどうなっていくのかは私たちにも予測がつかなかった。先の見えない状況で何よりも先に考えたのは、幸いに極めてよい状態にあるオルガンの音を何とかして残しておきたい、ということだった。オルガニストの水野氏自身、一つの節目としての録音を考えていた時期でもあり、何とか実現させたいと手探りを始めて1年余、とうとうCDが形になり、お世辞など言わない職人肌のアーレント氏からも思いがけず好意的な評を頂戴した。まったくの素人がここまで来られたのは、すべてN &Fの西脇義訓・福井末憲両氏のおかげと、心から感謝している。【カザルスホールプロデューサー/中村ひろ子】
 ユルゲン・アーレント氏からのコメント
水野氏の演奏には、きわめて説得力がある。
彼は、この楽器の繊細なメカニズムをいかに使いこなすかを
知り抜いているといえよう。演奏はエレガントで、音楽性にあふれている。
ニ短調のトッカータとフーガは見事で、まるで花火を見ているようだった。
 
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